地球の約7割は海で覆われており、すべての生命は海から生まれました。もし海が存在しなかったとしたら、私たち人類を含む陸上の生き物は、この地球に存在していなかったでしょう。海は、生命のふるさとであり、今もなお多くの命を育み続けています。
なかでも、氷に縁取られた「北極域の海」は氷縁生態系と呼ばれる世界でも指折りの豊かな生態系を誇ります。オホーツク海は、氷縁生態系を持つの海の中で最も低緯度に位置する海です。世界では人間活動により自然環境が損なわれ続けていますが、北海道東部に連なる北方四島周辺の海は、戦後の保護活動により、海と陸が一体となった本来の生態系が復元されてきました。
私たちは、この貴重な地域を「自然生態系のモデル地域」と捉え、そこに生きる多様な生き物たち、とりわけ海洋生態系の頂点に立つ海鳥や海生哺乳類といった高次捕食者に注目して調査・研究・啓蒙普及活動をおこなっています。彼らの生き方を深く知ることは、海の豊かさや、生命同士のつながりを理解することにつながります。
なかでも私たちは、「アザラシ」に目を向け、人と野生動物が共に生きる未来のあり方を探っています。被害や問題点だけを見るのではなく、生態系の中で果たしている大切な役割にも目を向け、アザラシを軸にした生態系全体を見つめ直すことで、人間社会との調和を目指します。その先にあるのは、人と野生動物が無理なく共に生き続けられる、持続可能な共生の姿です。
こうした研究と活動を長い時間をかけて積み重ねることで、地球温暖化をはじめとする環境変化が海や生き物に与える影響を科学的に明らかにしていきます。そして、その知見を次の世代へと受け渡すとともに、海の偉大さやかけがえのなさを多くの人に伝え、海にもう一度目を向けてもらうきっかけをつくることを目指しています。